安全運転管理者の選任手続きは、「選任要件に当てはまるかを確認する」「安全運転管理者を選ぶ」「期限内に届出を行う」という流れで進めます。選任しただけで終わりではなく、事業所の所在地を管轄する警察署を経由して公安委員会に届け出るところまでが一連の手続きです。この記事では、これから安全運転管理者を選任する、またはすでに選任しているが手続きの流れを確認したいという事業者の担当者向けに、手順をひとつずつ整理します。
選任自体は社内で決めれば完了しますが、法律上はそこで終わりではなく、公安委員会への届出まで行って初めて手続きが完了します。届出を忘れると、選任していても法令上の義務を果たしたことにならない場合があるため注意が必要です。
結論:選任には社内での選任プラス公安委員会への届出が必要
安全運転管理者の選任手続きは、大きく分けて次の2つの工程で構成されます。
- 事業所内で、要件を満たす人を安全運転管理者として選ぶ
- 選んだ内容を、管轄の警察署を経由して公安委員会に届け出る
この2つのうち、見落とされやすいのが2番目の届出です。社内で「誰を安全運転管理者にするか」を決めただけで手続きが終わったと思い込んでしまうケースもありますが、法律上は届出まで行って手続きが完了します。届出の期限や必要書類については、都道府県ごとに案内の形式が異なる部分もあるため、最新の内容は、公式の案内で確認してください。
前提の確認:そもそも選任が必要になるのはどんな事業所か
手続きの前に、自社がそもそも安全運転管理者の選任義務の対象になるかどうかを確認しておく必要があります。警察庁の資料では、選任義務の対象となる条件が次のように示されています。
一定台数以上の自動車を使用する自動車の使用者は、自動車の使用の本拠(事業所等)ごとに、自動車の安全な運転に必要な業務を行う者として安全運転管理者の選任を行わなければならない。(略)○ 乗車定員が11人以上の自動車 1台以上 ○ その他の自動車 5台以上
出典: 警察庁「安全運転管理者制度の概要」
つまり、事業所ごとに使用している自動車の台数と種類によって、選任が必要かどうかが決まる仕組みです。また、台数がさらに増えると副安全運転管理者の選任も必要になる場合があります。自社がこの条件に当てはまるかどうかは、保有している車両の台数・種類を事業所単位で洗い出すところから確認するとよいでしょう。
なお、運行管理者を置く自動車運送事業者など、別の制度の対象となる事業所は、安全運転管理者制度の対象外とされている場合があります。自社がどの制度の対象になるかも含めて、判断に迷う場合は管轄の警察署や都道府県警察の案内で確認することをおすすめします。
選任要件の具体的な台数・計算方法(二輪車の扱いなど)は制度改正で変わる可能性があります。本記事で紹介している内容は概要であり、最新の内容は、公式の案内で確認してください。
安全運転管理者の選任要件も事前に確認しておく
選任義務の対象事業所であることが分かったら、次は「誰を安全運転管理者にできるか」という選任要件の確認です。警察庁の資料では年齢などの要件が示されていますが、実務経験の年数や資格の有無によって必要となる証明書類が変わる場合もあります。選任要件の詳細や例外的な取り扱いについては、都道府県警察ごとの案内で差が見られる部分もあるため、こちらも最新の内容は、公式の案内で確認してください。
選任手続きの進め方:手順
ここからは、選任から届出までの一般的な流れを手順として整理します。実際に必要な書類や提出方法は都道府県ごとに案内が異なるため、各手順の詳細は管轄の警察署や都道府県警察(公安委員会)の案内ページで確認しながら進めてください。
届出の期限や提出方法(窓口・郵送・オンライン申請のいずれに対応しているか)は都道府県によって案内が異なります。また、届出に必要な書類の種類や様式も変更される場合があるため、手続きを始める前に、必ず管轄の都道府県警察(公安委員会)の安全運転管理者に関する案内ページで最新の情報を確認することをおすすめします。
複数の事業所を持つ会社の場合、安全運転管理者は「事業所ごと」に選任する仕組みです。本社でまとめて1人選任すればよいわけではない点は、前提として押さえておくとよいでしょう。
つまずきやすい点
選任手続きを進める中で、特に確認が後回しになりやすい点をいくつか挙げます。
届出の期限を社内で把握していない
選任自体は社内の辞令だけで完結すると考えてしまい、公安委員会への届出が漏れてしまうことがあります。届出には期限が設けられているため、選任を決めた時点で、いつまでに届け出る必要があるかをあわせて確認しておくとよいでしょう。期限の具体的な日数は制度上定められていますが、最新の内容は、公式の案内で確認してください。
必要書類が事業所の状況によって変わる
届出に必要な書類は、安全運転管理者候補の実務経験年数などによって異なる場合があります。実務経験が一定年数に満たない場合は別の書類が必要になるなど、候補者の経歴によって準備するものが変わることがあるため、事前に管轄の警察署へ確認しておくと手戻りを防ぎやすくなります。
副安全運転管理者の要否を見落とす
車両台数が多い事業所では、安全運転管理者に加えて副安全運転管理者の選任が必要になる場合があります。車両が増えた際に台数のチェックを行わず、副安全運転管理者の選任が漏れてしまうケースも考えられるため、車両台数に変動があったタイミングで要件を見直す習慣を持っておくと安心です。
選任後の運用ルールが決まっていない
届出まで終えて手続き自体は完了しても、その後の日常業務である酒気帯びの確認・記録の運用が整っていないという状態も起こり得ます。安全運転管理者には、運転者の酒気帯びの有無を確認し、その内容を記録・保存することが義務付けられています。
業務使用の自家用自動車における飲酒運転防止対策を強化することを目的として、令和3年の道路交通法施行規則の改正により、安全運転管理者に対し、目視等により運転者の酒気帯びの有無の確認を行うこと及びその内容を記録して1年間保存することを義務付ける規定(令和4年4月1日から施行)
出典: 警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」
この確認・記録の運用をどう回すかは、選任手続きが終わった後に必ず検討しておきたいポイントです。紙の記録簿で運用する方法もありますが、運転者の人数が増えるほど記録の抜け漏れや確認漏れが起きやすくなる場合があります。酒気帯びの確認・記録の運用でつまずきやすい点については、アルコールチェックの記録を訂正する正しい方法やアルコールチェックの入力漏れに気づくための通知機能の確認ポイントでも取り上げています。
ツールで楽にする選択肢
選任手続きそのものは一度きりの作業ですが、選任後は酒気帯びの確認・記録という日々の業務が継続して発生します。この記録業務を支えるツールの一つとして、「のみチェック」が挙げられます。あくまで選択肢の一つであり、紙の記録簿や他のサービスで運用する方法もあります。
のみチェックでは、運転者管理ページから運転者を登録し、一人ひとりに対してURLやQRコードを発行できます。発行したURLやQRコードを運転者がスマートフォンで読み取ることで、酒気帯びの確認結果を記録する流れを作れます。紙の記録簿やExcelでの管理と比べて、記録の確認方法や管理の仕方が変わる場合があります。記録の抜け漏れを防げるかどうかは、ツールの機能だけでなく運用体制や利用方法によっても左右されるため、導入すれば必ず防げるというものではなく、個々の運用状況によって結果は異なります。
のみチェックの料金プランや無料トライアルの有無・条件については、変更される場合があるため、利用を検討する際は公式サイトで最新の内容を確認してください。選任手続きが完了した後、日々の記録運用をどう設計するかを検討する段階で候補の一つとして確認してみるとよいでしょう。
記録の仕組みをQRコードで運用する考え方については、アルコールチェックをQRコードで記録する仕組みとは|選び方のポイントでも詳しく整理しています。あわせて確認してみてください。
まとめ
安全運転管理者の選任手続きは、「選任義務の対象かどうかの確認」「選任要件を満たす候補者の選定」「社内での選任」「公安委員会への届出」という流れで進みます。届出の期限や必要書類、選任要件の詳細は都道府県ごとに案内が異なる部分もあるため、手続きを始める前に、管轄の都道府県警察(公安委員会)の安全運転管理者に関する案内ページで最新の内容を確認することをおすすめします。また、届出が完了した後は、酒気帯びの確認・記録という日常業務の運用をどう整えるかも、あわせて検討しておきたいポイントです。