複数のスタッフがいる個人店で顧客情報をどう共有するか悩んだとき、結論から言うと、全スタッフに同じ情報を見せるのではなく、見せる範囲を分けて共有する方法が考えやすいやり方です。お客様の目にも触れる受付画面には最低限の情報だけを表示し、スタッフだけが見る情報は別の画面に分けておくことで、情報漏えいのリスクを抑えながら必要な共有ができるようになります。
この記事では、顧客情報共有の前提確認から、実際の手順、つまずきやすい点、ツールで楽にする選択肢まで、個人店のオーナーが実務で使える形で順に解説します。
前提の確認:お客様用とスタッフ用の情報を分けられているか
手順に入る前に、まず確認しておきたいことがあります。それは「お客様に見せてよい情報」と「スタッフだけが見る情報」を、そもそも分けて管理できているかという点です。
たとえば受付での呼び出しや予約確認のために表示する名前や来店時間は、お客様自身が見ても問題ない情報です。一方で、過去のクレーム対応の経緯や、スタッフ間だけで共有したい接客上の注意点、支払いに関するメモなどは、お客様の目に触れる場所に出すべきではない情報といえます。
この区別があいまいなまま顧客情報共有を進めると、受付のタブレットやモニターにスタッフ用のメモまで表示されてしまい、結果としてお客様に見せるべきではない情報が見えてしまう、という事態につながりかねません。
顧客情報共有を考えるときは、まず「誰に・何を・どこまで」見せるのかを紙に書き出してみると、情報の線引きが整理しやすくなります。
顧客情報共有の手順
前提を確認したら、次の3つのステップで顧客情報共有の仕組みを組み立てていきます。
手順1:共有したい情報を洗い出す
まずは、日々のやり取りの中でスタッフ間に共有したい情報をすべて書き出します。個人店であれば、次のような項目が候補になります。
この段階では「お客様に見せてよいか」はまだ考えず、とにかく共有したい情報を漏れなくリストアップすることを優先します。
手順2:お客様用とスタッフ用に分ける
洗い出した項目を、お客様に見られても問題ない「お客様用」と、スタッフだけが見るべき「スタッフ用」に仕分けします。
一般的には、氏名や予約時間など受付のやり取りに最低限必要な情報はお客様用、接客上の注意点や支払いに関する内情、スタッフ間の申し送りはスタッフ用に分類されることが多いです。ただし業態やお客様との関係性によって線引きは変わるため、自店の運用に合わせて判断する必要があります。
手順3:スタッフ用の画面をPINなどで保護する
お客様用とスタッフ用を分けたら、スタッフ用の情報が表示される画面には、PIN(暗証番号)などによる認証をかけておきます。これにより、受付端末がお客様の目に触れる位置にあっても、スタッフ用の情報までは見られない状態を作れます。
PINを設定する際は、スタッフ全員が覚えやすく、かつお客様が推測しにくい桁数・組み合わせにしておくと、日々の切り替え操作がスムーズになります。
つまずきやすい点:PINの管理が緩くなりがちな点
顧客情報共有の仕組みを作っても、運用を続けるうちにPINの管理が緩くなってしまうことがあります。たとえば、PINをレジ横の付箋に書いて貼ったままにしていたり、新しいスタッフが増えても同じPINを使い続けていたりするケースです。
こうした状態では、せっかくお客様用とスタッフ用を分けても、実質的に誰でもスタッフ用画面にアクセスできてしまい、情報を分けた意味が薄れてしまいます。定期的にPINを見直すタイミングを決めておく、メモをそのまま見える場所に置かない、といった運用ルールもあわせて決めておくと、分けた状態を保ちやすくなります。
PINは「設定したら終わり」ではなく、スタッフの入れ替わりや漏えいの可能性に応じて見直す運用が必要です。
ツールで楽にする選択肢
ここまでの手順は、紙の台帳やホワイトボードでも組み立てることはできますが、お客様用・スタッフ用の表示切り替えやPIN管理を手作業で運用し続けるのは負担が大きくなりがちです。そのため、こうした切り替えを機能として備えたツールを使う選択肢もあります。
顧客管理の方法自体に悩んでいる場合は、電話番号で顧客情報を検索できるアプリの選び方や、コールセンターで顧客情報をすぐ探すための工夫もあわせて参考になります。
「個人店のための受付台帳」の例
ツールの一つとして、「個人店のための受付台帳」が挙げられます。この台帳では、カルテ項目に指定した内容は、設定が正しく行われている場合、お客様用モードの画面には表示されない仕様となっており、スタッフ用モードに切り替えたときに確認できる仕組みが用意されています。モードの切り替えにはPIN認証が用いられており、PINが適切に管理されている場合は、受付端末をお客様の前に置いたままでも、スタッフ用情報が意図せず表示されるリスクを一定程度減らせると考えられます。ただし、PINの管理状況や端末の設置状況によっては、見えてしまう可能性が残る点には留意が必要です。
具体的な操作としては、台帳の設定画面からスタッフ用モードのPINを設定する項目があり、そこで任意の番号を登録しておくことで、以降は設定が正しく行われていれば、PIN入力なしにはスタッフ用の情報が表示されにくい状態にできます。ただし、設定内容や運用方法によっては例外が生じる可能性もあります。
こうした仕組みは他のツールにも見られるものであり、「個人店のための受付台帳」はその選択肢の一つという位置づけです。自店の規模や運用に合わせて、紙の台帳との併用や、他のツールとの比較検討も含めて選ぶとよいでしょう。
まとめ
顧客情報をスタッフ間で共有する際は、全員に同じ情報を見せるのではなく、お客様用とスタッフ用に分けて共有する方法が考えやすい進め方です。共有したい情報を洗い出し、お客様用・スタッフ用に仕分けしたうえで、スタッフ用の画面はPINなどで保護します。運用を続ける中ではPIN管理が緩くなりがちな点に注意しつつ、手作業での運用が負担になる場合はツールの活用もあわせて検討してみてください。
個人情報の取り扱いについては、通信販売等を中心とした顧客情報に関する個人情報保護指針なども参考に、自店のルールを整えておくと安心です。