紙の顧客台帳をアプリに置き換えたいと考えたとき、個人サロンの規模であれば、「カスタマイズのしやすさ」と「価格のシンプルさ」を優先して見ておくという考え方があります。サロンの運営スタイルによっては、これらを基準にすることで導入後の使い勝手を判断しやすくなる場合があります。多機能で高額なシステムではなく、自分のサロンの施術内容やお客様の情報に合わせて項目を自由に設計でき、料金体系が分かりやすいものを選ぶという考え方もあります。個人経営の現場では、サロンの運営スタイルや記録したい情報の種類によって、そうした設計のアプリが扱いやすいと感じられる場合もあるようです。
ネイルサロンやエステなど、オーナー1人〜数名で運営している個人サロンでは、紙の台帳やノートでお客様情報を管理している場面がまだ多く見られます。ただ、お客様が増えてくると「前回のメニューが思い出せない」「アレルギーの注意事項を見落としそうで不安」といった悩みも出てきます。この記事では、個人サロンが顧客台帳アプリを選ぶときに何を見ればよいか、観点を整理して紹介します。
個人サロンが顧客台帳アプリを選ぶときに見るべき観点
顧客台帳アプリと一口に言っても、予約機能や決済機能まで含んだ大規模なサロン管理システムから、台帳機能だけに絞ったシンプルなものまで幅があります。個人サロンの場合、まず次の3つの観点で絞り込んでいくと検討しやすくなります。
項目を自由に設計できるか
サロンによって、記録したい項目は異なります。ネイルサロンならデザインの写真や使用したカラー、エステなら施術内容や肌の状態、理美容系ならアレルギーや薬剤の注意事項など、業態や店舗ごとに必要な項目は変わってきます。
あらかじめ用意された項目しか入力できないアプリだと、自店特有の情報を記録する欄がなく、結局メモ欄に手書き感覚で詰め込むことになりがちです。台帳の項目を自分で追加・編集・並び替えできるかどうかは、最初に確認しておきたいポイントです。
項目をあとから自由に追加できるアプリであれば、開業したばかりで記録したい内容が固まっていない場合でも、運用しながら台帳の形を整えていくことができます。
スタッフ間での情報の扱い方
オーナー1人で運営している場合は影響が小さいですが、スタッフを雇っている、または将来雇う可能性がある場合は、顧客情報を複数人でどう共有するかも考えておく必要があります。全スタッフが同じ情報を見られるようにするのか、担当者ごとに見える範囲を分けるのか、アプリによって設計が異なります。
紙の台帳のままだと、お客様の来店時に担当者が不在だと情報が分からない、といった状況も起こりやすくなります。顧客管理が紙の台帳で限界を迎えたときの整理法でも触れていますが、紙からの切り替えを検討する段階で、情報共有の仕組みも合わせて見直しておくことは、運用開始後の混乱を避けるための一つの工夫として考えられます。
価格体系のシンプルさ
個人サロンの場合、月々のコストが読みやすいことも重要な観点です。顧客数に応じて料金が段階的に上がるもの、機能ごとにオプション料金が加算されるもの、月額固定で分かりやすいものなど、価格の仕組みはアプリごとに異なります。
予約機能や決済機能、分析機能などが一体になった多機能サロン管理システムは、その分だけ月額費用が高くなる傾向があり、台帳管理だけを目的とするなら機能と価格のバランスが合っているか確認しておくとよいでしょう。
比較の軸にしたい2つのポイント
観点を整理したところで、実際に複数のアプリを比較するときの軸を具体的に見ていきます。
無料プランでどこまで使えるか
多くの顧客台帳アプリには無料プランが用意されていますが、「件数に上限がある」「機能の一部しか使えない」「一定期間だけの無料体験」など、無料の範囲はアプリによって大きく異なります。個人サロンでまず試してみたい場合は、どのくらいの顧客件数まで無料で使えるのかを確認しておくと、途中で有料プランへの切り替えが必要になるタイミングも見通しやすくなります。
項目の追加・編集のしやすさ
カスタマイズ性があると謳っていても、項目の追加や編集に専門知識が必要だったり、設定画面が分かりにくかったりすると、実際には使いこなせないこともあります。管理画面の操作が直感的かどうかは、実際に触ってみないと分かりにくい部分でもあるため、無料プランやお試し期間のうちに確認しておくという方法があります。
カスタマイズ性の高さを売りにしているアプリでも、項目を変更するたびに別途申請や問い合わせが必要な場合があります。契約前に、自分の操作だけで完結するかどうかを確認しておくと安心です。
条件別の選び方
個人サロンといっても、運営のスタイルによって重視したいポイントは変わってきます。
- オーナー1人で運営している場合:項目のカスタマイズ性と価格のシンプルさを優先し、予約機能や決済機能などは別のツールと使い分ける、あるいは不要と割り切るという考え方もあります。
- スタッフを数名雇っている場合:情報共有の範囲をどう設定できるかを確認し、担当者ごとの閲覧権限などがあるかもチェックしておくとよいでしょう。
- 複数業態を兼業している場合(ネイル+まつげなど):項目を業態ごとに分けて設計できるか、台帳のテンプレートを複数持てるかを確認しておくと、運用がしやすくなります。
- すでにLINEなどで予約を受けている場合:台帳アプリに予約機能を求めず、台帳管理に特化したアプリを選び、予約は既存の仕組みのまま続けるという選択肢もあります。
「個人店のための受付台帳」を例に見る台帳設計の考え方
ここまで挙げた観点を踏まえて、個人サロン向けの顧客台帳アプリの一つとして「個人店のための受付台帳」という選択肢を紹介します。あくまで候補の一つであり、他にも同様のコンセプトのアプリはいくつかありますので、実際に選ぶ際は複数を比較検討することをおすすめします。
このアプリの台帳設定の画面では、メニュー名やアレルギーなどの注意事項といった項目を追加・並び替えできる仕様になっており、プランや設定条件によって項目数などに制限が設けられている場合があります。例えば、台帳設定の画面で「使用薬剤」という項目を追加すると、その項目が受付画面側にも反映され、次回以降の受付時に入力・確認できるようになるという操作の流れが用意されているケースがあります。実際の反映範囲や操作手順は利用時点の仕様によって異なる可能性があるため、導入前に確認することをおすすめします。あらかじめ決まったフォーマットが用意されているのではなく、項目を追加・並び替えすることで、サロンごとの運用に合わせて台帳の形を変えられる仕組みになっています。
料金体系については、無料プランには顧客登録件数に上限が設けられており、上限を超える場合は有料プランへの切り替えが必要になる仕組みです。具体的な上限件数や月額料金は改定される場合があるため、利用を検討する際は公式サイトで最新の情報を確認することをおすすめします。顧客数が少ないうちは無料プランの範囲で試し、150件を超えるなど必要に応じて有料プランへの切り替えを検討するといった進め方も考えられますが、実際の運用に合うかどうかはサロンごとに確認が必要です。
なお、このアプリには予約機能・決済機能はありません。台帳管理に機能を絞った設計になっているため、予約の受付や会計をオンラインで完結させたい場合は、別途予約システムや決済サービスと組み合わせる必要があります。
台帳管理に特化したアプリと、予約・決済まで含めた総合的なサロン管理システムとでは、そもそもの設計思想が異なります。自分のサロンに今必要な機能がどちらに近いかを先に整理しておくと、比較がしやすくなります。
選定前に確認しておきたいチェックリスト
実際にアプリを検討する際は、以下の項目を一つずつ確認しておくと比較がスムーズになります。
まとめ
個人サロンが顧客台帳アプリを選ぶときは、自分のサロンで記録したい項目が自由に設計できるか、そして価格体系がシンプルで分かりやすいかという2つの観点を一つの基準として見ていく方法があります。そのうえで、無料プランの範囲や項目編集のしやすさを具体的に確認し、運営スタイルに合わせて予約機能や決済機能の要不要も整理しておくとよいでしょう。「個人店のための受付台帳」のように台帳管理に特化したアプリも選択肢の一つとして挙げられますが、サロンごとに重視したいポイントは異なるため、実際にいくつか触ってみたうえで判断することをおすすめします。
Excelやスプレッドシートで顧客管理をしていて限界を感じている場合は、Excel顧客管理がめんどくさい時の原因と対処法も合わせて参考にしてみてください。