退去立会いのチェックリストの作り方|部屋全体と部位ごとの項目に分ける考え方
退去立会いのチェックリストは、部屋全体の確認項目と、部位ごとの確認項目を分けて作ると運用しやすくなります。全体を見る視点と、キッチンや壁紙など部位ごとに細かく見る視点を同じ欄にまとめてしまうと、記入欄が複雑になり、担当者によって書き方がばらついてしまうためです。この記事では、賃貸管理会社の担当者が自社で退去立会い用のチェックリストを作る際の手順を、前提の整理から具体的な項目の決め方、つまずきやすい点まで順に説明します。

退去立会いのチェックリストは、部屋全体の確認項目と、部位ごとの確認項目を分けて作ると運用しやすくなります。全体を見る視点と、キッチンや壁紙など部位ごとに細かく見る視点を同じ欄にまとめてしまうと、記入欄が複雑になり、担当者によって書き方がばらついてしまうためです。この記事では、賃貸管理会社の担当者が自社で退去立会い用のチェックリストを作る際の手順を、前提の整理から具体的な項目の決め方、つまずきやすい点まで順に説明します。
坂本大輔 | CalmCraft運営者
小規模事業者の困りごとを、小さな業務ツールにしています。マイクロSaaSから、AIや音声を使うものまで、いろんな形で作っています。
撮影順にそのままチェック項目になります
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御社専用の業務効率化ツールを月額980円〜で作りますチェックリストを作り始める前に、「誰が」「どの場面で」使うのかを整理しておくと、後工程で項目を決めやすくなります。
退去立会いのチェックリストは、主に以下のような場面・担当者を想定して使われます。
同じチェックリストでも、立会い当日に現場で書き込むためのものなのか、後から社内で確認するための記録なのかによって、求められる項目の粒度は変わります。まずは自社でどちらの用途を優先するかを決めておくと、以降の手順がスムーズになります。
入居時にも同様の確認書を作成し、退去時と比較できるようにしておくと、入居前からあった傷か入居中についた損耗かの判断がしやすくなります。国土交通省のガイドラインでも、入居時・退去時の双方で部屋および部位ごとの状況を確認することが示されています。出典: 国土交通省
ここから、実際にチェックリストを作る手順を番号順に説明します。
最初に、部屋に入った時点で全体を見渡して確認する項目を決めます。これは部位ごとの細かい確認に入る前の、いわば「全景チェック」にあたる項目です。
全景の項目は、部位ごとの確認に進む前に「この部屋全体としてどういう状態か」を記録しておく役割を持たせると、後から見返したときに状況を把握しやすくなります。
次に、キッチン・浴室・トイレ・居室・玄関など、部位ごとの確認項目を決めます。部位ごとの項目は、全景の項目よりも具体的で、傷や破損の有無を一つずつ確認する内容になります。
部位ごとの項目は、物件の間取りや設備によって増減します。自社で過去に原状回復費用の精算でもめた箇所があれば、その部位の項目を手厚くしておくと実務上の抜け漏れを防ぎやすくなります。負担区分の判断に迷う項目が出てきた場合は、原状回復の負担区分が分からないときの考え方と確認手順もあわせて参照してください。
各項目について、傷や汚れがあった場合に「誰の負担になりそうか」を記入できる欄を用意します。退去立会いの場では最終的な金額まで確定させないケースが多いため、ここでは「貸主負担」「借主負担」「要確認」程度の区分で記入できるようにしておくと、現場での記入がしやすくなります。
国土交通省の賃貸住宅標準管理委託契約書の解説でも、原状回復をめぐるトラブルを防ぐために、現況確認表やチェックリストを活用して負担金額の算定根拠が分かる書面を交付する必要があるとされています。出典: 国土交通省
負担区分の記入欄は、あくまで現場での一次的な記録であり、最終的な費用算定は社内の確認フローで行う旨をチェックリスト上にも明記しておくと、入居者との認識のズレを防ぎやすくなります。
傷や汚れの状態は、文字だけで記録すると後から判断しづらくなることがあります。各部位の項目に「写真あり/なし」のチェック欄を設けておき、実際の写真データと番号で紐づけられるようにしておくと、後日の確認がしやすくなります。
最後に、立会いをした日付、担当者名、入居者(借主)の署名欄を用意します。署名欄は、チェックリストの最後にまとめて配置する形でも、ページごとに配置する形でも構いませんが、「誰が」「いつ」確認した記録なのかが分かるようにしておくことが重要です。
チェックリストを作った後に実際に運用してみると、同じ項目でも担当者によって記入の粒度が大きく異なることがあります。たとえば「壁紙に傷あり」とだけ書く担当者もいれば、傷の位置・大きさ・原因の推測まで書き込む担当者もいます。
この粒度のばらつきは、チェックリストの項目を増やすだけでは解消しにくい部分です。むしろ項目を細かくしすぎると、現場での記入に時間がかかり、逆に簡略化されてしまうこともあります。粒度のばらつきを減らすには、各項目に記入例を添えておく、あるいは「傷の大きさは目安として硬貨サイズ・手のひらサイズのように区分する」といった共通の基準を決めておくといった工夫が考えられます。
チェックリストの項目を増やしすぎると、現場での記入に時間がかかり、かえって記入が雑になることがあります。部位ごとの項目は、自社で実際にトラブルになりやすい箇所を優先して絞り込むことが望ましいです。
紙やExcelでチェックリストを作る方法は、特別な費用をかけずに始められますが、運用していく中で、前述の「記入の粒度のばらつき」や、写真・音声記録との紐づけに手間がかかると感じる担当者もいます。
こうした課題に対して、退去立会い専用のアプリやツールを使う選択肢もあります。退去立会い向けのツールの中には、部屋全体の全景写真と、部位ごとの写真・音声記録を分けて扱う設計のものや、現場でAIが場所・部位・状況の候補を提示する機能を備えたものもあります。こうした機能を備えたツールの一例として退去レポのようなサービスが挙げられますが、記入の手間や担当者間の記録のばらつきがどの程度変化するかは、運用体制や使い方によって異なります。ツールを選ぶ際は、自社の立会い件数や運用体制に合わせて、他の選択肢も含めて比較検討することが望ましいです。ツール選びの観点については、賃貸管理会社の業務効率化アプリの選び方|退去立会いから着手する理由でも整理しています。
また、立会い後の原状回復費用の算定でつまずきやすい場合は、原状回復費用の計算方法をわかりやすく解説や原状回復の見積もりソフトを選ぶときの観点もあわせて確認しておくと、チェックリストの記録をその後の業務にどうつなげるかのイメージが持ちやすくなります。
退去立会いのチェックリストは、部屋全体の全景を確認する項目と、部位ごとの細かい確認項目を分けて作ることで、現場での記入がしやすくなります。手順としては、全景項目を決める、部位ごとの項目を決める、負担区分の記入欄を用意する、写真の添付欄を用意する、署名欄を用意するという順で整理すると、無理なく自社用のチェックリストを形にできます。運用を始めてから担当者ごとの記入の粒度がばらつく場合は、記入例や基準を共有したり、ツールの活用を検討したりするといった対応策が考えられます。
Q退去立会いのチェックリストは無料のテンプレートを使ってもよいですか?
A無料のテンプレートを出発点にすること自体は問題ありません。ただし、物件の設備や自社で過去にトラブルになりやすかった部位は物件ごとに異なるため、テンプレートをそのまま使うのではなく、自社の実情に合わせて部位ごとの項目を加除することが望ましいです。
Q点検表の項目はどのくらい細かくすればよいですか?
A項目を細かくしすぎると現場での記入に時間がかかり、かえって簡略化されてしまうことがあります。まずは部屋全体の全景項目と主要な部位の項目から始め、実際の立会いで判断に迷った箇所があれば、その部位の項目を後から追加していく進め方が現実的です。
Q入居時のチェックリストと退去時のチェックリストは同じ項目にすべきですか?
A入居時と退去時で同じ部位・項目のフォーマットにしておくと、入居時点の状態と退去時点の状態を比較しやすくなります。国土交通省の資料でも、入居時・退去時の双方で部屋および部位ごとに状況を確認することが示されています。
Q負担区分はチェックリストの記入時点で確定させる必要がありますか?
A立会いの場で最終的な負担区分や金額まで確定させる必要はありません。現場では貸主負担・借主負担・要確認といった大まかな区分を記録しておき、詳細な算定は社内のフローで改めて判断する運用が一般的です。
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