退去立会いの点検項目は、「場所」「部位」「状況」「負担区分」の4つを揃えて書くと整理しやすくなります。この4つが揃っていないと、後から記録を見返したときに何がどう問題だったのか分からなくなったり、借主との認識のズレが原因でトラブルに発展したりすることがあります。本記事では、この4項目を実際にどう書くか、手順に沿って説明します。
退去立会いの点検項目の書き方|場所・部位・状況・負担区分の4つで整理する手順

坂本大輔 | CalmCraft運営者
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御社専用の業務効率化ツールを月額980円〜で作ります退去立会いの点検項目を書く前に確認しておくこと
点検項目の書き方を説明する前に、「誰が」「いつ」書くのかを確認しておきます。この前提が曖昧なまま記録を始めると、後工程で困ることが多いためです。
誰が書くか
退去立会い記録は、立会いに同席した管理会社の担当者が、その場で書くのが基本です。借主が同席している場合は、気になった箇所をその場で借主にも確認してもらいながら記入すると、後日「言った・言わない」のトラブルを避けやすくなります。国土交通省のガイドラインでも、賃貸人・賃借人双方の視点で部屋や部位ごとの状況を確認し、点検・確認を行うことが推奨されています。
※入居時には、賃貸人・賃借人の双方の視点で当該物件の部屋および部位ごとに「箇所」を確認し、「損耗」の有無に○を付け、「交換年月」を記入する。そしてその損耗の具体的な状況を適宜記入する(写真等に撮影して添付する等より具体的にすることが望ましい)。 出典: 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
いつ書くか
点検項目は、立会いのその場で書くことが原則です。後日まとめて記入しようとすると、どの部屋のどの傷だったか記憶が混ざってしまい、状況の記述が曖昧になりがちです。写真を撮っておいても、何の状況だったかを文章で残しておかないと、後から見返した際に判断に迷う場合があります。
点検項目は「誰が」「いつ」書くかを決めておくだけでも、記録のばらつきを減らしやすくなります。担当者によって書き方が異なると、精算の判断基準も揺れやすくなるため、社内で簡単なルールを共有しておくと安心です。
退去立会い 点検項目の書き方|4つの要素を揃える手順
ここからは、実際に点検項目をどう書くか、手順に沿って説明します。
手順1. 場所を決める
まず、どの部屋・どのスペースについて記録するのかを決めます。「リビング」「洋室1」「キッチン」「浴室」「玄関」のように、物件の間取り図や契約書に記載された部屋名に合わせて書くと、後から契約書や入居時の記録と突き合わせやすくなります。
- 間取り図や入居時の記録と同じ部屋名・表記を使っているか
- 共用部(バルコニー、玄関ドア外側など)も対象に含めているか
手順2. 部位を特定する
場所が決まったら、その中のどこを指すのかを具体的にします。「壁紙(クロス)」「床(フローリング)」「建具」「窓ガラス・窓枠」「網戸」「エアコン」「給湯器」など、点検対象となる設備・内装の名称で記載します。
国土交通省の原状回復確認リストでも、部屋ごとに床・壁(クロス)・建具・設備(エアコン、給湯器、照明器具など)といった部位単位でチェックする様式が示されています。自社で点検項目のひな形を作る場合も、こうした部位の分け方を参考にすると漏れを防ぎやすくなります。
- クロス・床・建具など内装の部位を網羅しているか
- エアコン・給湯器・照明器具など設備の部位を網羅しているか
- 窓・網戸・バルコニーなど開口部まわりを含めているか
手順3. 状況を具体的に書く
場所と部位が決まったら、その部位がどのような状態だったかを具体的に記述します。ここが最もつまずきやすい部分です。詳しくは次の章で説明します。
手順4. 負担区分を確認する
最後に、その損耗が借主負担か貸主負担か、現時点での見立てを記載します。負担区分の判断には、経年劣化や通常損耗かどうか、借主の故意・過失によるものかどうかという視点が必要です。この判断に迷う場合は、別記事「原状回復の負担区分が分からないときの考え方と確認手順」で考え方を整理していますので、あわせて確認してください。
なお、立会いの場で負担区分を即断できないケースもあります。その場合は「要確認」として記録し、後日正式に判断する旨を借主にも伝えておくと、認識のズレを防ぎやすくなります。
立会いの場で負担区分を断定しすぎると、後日の精算段階で訂正が必要になった際にトラブルになりやすくなります。判断が難しい箇所は「要確認」として残し、後日の精算書で説明する、という運用にしておくと安心です。
退去立会い 記録 項目でつまずきやすい点
4つの要素のうち、特に「状況」の書き方は曖昧になりがちです。よくある書き方の失敗例と、改善のポイントを整理します。
「汚れている」「傷がある」だけで終わってしまう
「クロスに汚れあり」「床に傷あり」のような記述だけでは、後から見返したときにどの程度の汚れ・傷だったのか、通常使用の範囲なのかを判断できません。状況欄には、次のような要素を含めると具体性が増します。
- 損耗の種類(汚れ、傷、破損、変色、剥がれなど)
- 大きさ・範囲(「縦10cm程度のひっかき傷」「壁一面に黄ばみ」など)
- 発生していると考えられる原因(「喫煙によるものと見られる」「経年による変色」など、推測の場合はその旨を明記)
- 写真の有無(撮影した場合は記録と紐づけておく)
入居時の記録と比較せずに書いてしまう
退去時の状況だけを見て「傷がある」と書いても、それが入居時から存在していたものなのか、入居中に発生したものなのかが分からなければ、負担区分の判断材料になりません。可能であれば入居時の点検記録や写真と突き合わせながら、「入居時にはなかった」「入居時の記録に同様の記載あり」といった比較の視点を一言添えておくと、後工程での判断がしやすくなります。
部位をまとめて書いてしまう
「部屋全体が汚れている」のように部位をまとめて書いてしまうと、どの部位がどの程度の状態だったのか切り分けられなくなります。手順2で決めた部位ごとに、状況を分けて記載することが大切です。
状況の書き方に迷ったときは、「何が」「どこに」「どの程度」「原因として考えられるもの」の4点を意識すると、曖昧な記述を避けやすくなります。
点検項目をツールで楽にする選択肢
ここまでの手順を紙やExcelの様式で行っている場合、立会いの現場で手書きしたりメモを取ったりしながら、後でパソコンに清書するという二度手間が発生しがちです。特に「状況」の記述は、その場でメモした内容を後から文章化する際に表現が曖昧になりやすい部分でもあります。
こうした手間を減らす選択肢の一つとして、退去立会いの記録を撮影した写真と音声で残せるツールが挙げられます。たとえば、立会い時にその部位の写真を撮影しながらマイクで状況を話すと、音声の内容からAIが「場所」「部位」「状況」「負担区分」の候補を自動で提案してくれる、という使い方ができるツールもあります。担当者はその提案内容を確認し、必要に応じて修正したうえで記録として確定する、という流れです。
ここで重要なのは、AIが提案する内容はあくまで候補であり、最終的な記録として確定するかどうかの判断は担当者が行う必要がある、という点です。負担区分の判断には契約書の特約内容や物件固有の事情が関わるため、AIの提案をそのまま採用せず、必ず内容を確認してから確定する運用にしておくことが望ましいといえます。
こうしたツールの選び方については、「賃貸管理会社の業務効率化アプリの選び方|退去立会いから着手する理由」でも触れていますので、導入を検討する際の参考にしてください。また、原状回復費用の見積もり段階まで含めて効率化したい場合は、「原状回復の見積もりソフトを選ぶときの観点」もあわせてご覧ください。
AIによる提案機能を使う場合でも、負担区分の最終判断は契約内容やガイドラインに照らして担当者自身が行う必要があります。提案をそのまま採用するのではなく、必ず内容を確認する運用にしておきましょう。
まとめ
退去立会いの点検項目は、「場所」「部位」「状況」「負担区分」の4つを揃えて書くことで、後から見返したときにも判断がしやすい記録になります。特に状況の記述は曖昧になりやすいため、「何が」「どこに」「どの程度」「原因として考えられるもの」を意識して書くことが大切です。立会いの場でその都度記録することを基本としつつ、写真や音声を活用したツールも選択肢の一つとして検討してみてください。
退去時の点検・確認を賃貸人・賃借人双方で行うことの重要性は、国土交通省のガイドラインでも示されています。自社の点検項目の様式を見直す際の参考にしてください。出典: 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
よくある質問
Q退去立会いの点検項目は、入居時の記録と同じ様式にすべきですか?
A同じ様式にしておくと、入居時と退去時の状況を部位ごとに比較しやすくなります。国土交通省のガイドラインでも、入居時・退去時で同じ部屋・部位の区分に沿って状況を記録する様式が示されています。自社でひな形を作る際の参考にしてください。
Q負担区分がその場で判断できない場合はどう書けばよいですか?
A立会いの場で断定せず、「要確認」として記録し、後日あらためて判断する旨を借主にも伝えておくことが望ましいです。無理に即断すると、後日の精算段階で訂正が必要になった際にトラブルになりやすくなります。
Q状況の記述に写真は必須ですか?
A必須ではありませんが、文章だけでは伝わりにくい損耗の程度や範囲を補足する手段として、写真を併用することが望ましいとされています。国土交通省のガイドラインでも、写真等の記録をより具体的にする方法の一つとして挙げられています。
Q点検項目の記録はどのくらいの期間保存すればよいですか?
A法令上の明確な保存期間が一律に定められているわけではありませんが、原状回復費用の精算や、後日の問い合わせ・トラブル対応に備えて、契約終了後も一定期間は保管しておくことが望ましいといえます。社内規程や契約書の内容に合わせて保存期間を決めておくとよいでしょう。
AI提案を人が確認して項目を確定
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御社専用の業務効率化ツールを月額980円〜で作りますこの記事を書いた人
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