退去立会いの記録を紙やExcelで管理していると、拠点が増えたり担当者が複数人になったりしたタイミングで「誰がどの案件を担当したか分からない」「写真がどこにあるか探す手間がかかる」といった問題が起きやすくなります。この記事では、退去立会いをクラウドで管理するアプリを選ぶ際に見るべき基準を、結論から先に整理したうえで、条件別の選び方まで解説します。
退去立会いアプリを選ぶときにまず確認したい3点
- 複数人での同時利用ができるか(担当者ごとにログインして同時に案件を扱えるか)
- データの保存先がクラウドか、端末内のみか(拠点間での共有・引き継ぎができるか)
- スタッフ招待の上限が自社の体制に合っているか(無料・有料での上限人数の違い)
この3点を押さえずに選んでしまうと、「導入したものの担当者を追加できない」「本社と拠点でデータが共有されない」といった事態になりかねません。以下、それぞれの観点を詳しく見ていきます。
賃貸管理をクラウドで行う意味と、紙・Excel管理との違い
退去立会いの記録を賃貸管理のクラウドサービスで行う場合、紙やExcelでの管理と比べて、記録が特定の端末やファイルに紐づかず、担当者間・拠点間で共有しやすくなる点が特徴の一つとして挙げられます。紙の立会い記録や、担当者ごとに分かれたExcelファイルでは、以下のような課題が生じやすくなります。
- 担当者が異動・退職した際に過去の記録を引き継ぎにくい
- 複数拠点の案件を本社側で一覧できない
- 写真データが個人のスマートフォンやPCに散らばる
- 退去者とのトラブル時に、記録の原本や経緯を素早く確認できない
クラウド管理のアプリであれば、案件情報・点検項目・写真・署名といった一連のデータが同じ場所に集約されるため、担当者が変わっても記録を追いやすくなります。また、原状回復の負担区分についての考え方を整理した原状回復の負担区分が分からないときの考え方と確認手順もあわせて確認しておくと、記録の残し方と判断基準の両面から退去立会いの業務を見直せます。
比較の軸:退去立会いアプリで確認すべき項目
アプリを比較する際は、以下の軸で整理すると自社に合うかどうかを判断しやすくなります。
1. 複数人での同時利用ができるか
担当者が1人であれば個人のメモアプリや単体のカメラアプリでも対応できますが、複数の担当者や拠点で運用する場合は、同じ案件を複数人が別々のタイミングで確認・編集できる仕組みが必要です。立会い当日の担当者と、事後に写真を確認する事務担当者が別人であるケースも多いため、誰がいつ記録を更新したかが分かる仕組みかどうかも確認しておくと安心です。
2. データの保存先がクラウドか、端末内のみか
アプリによっては、記録や写真がすべて端末内に保存され、クラウド上にはデータが上がらない設計のものもあります。この場合、電波の届かない現場でも作業が完結するという利点がある一方で、拠点間や担当者間でのデータ共有には別途ファイルのやり取りが必要になります。複数拠点で一元管理したい場合は、クラウド保存型であるかどうかを運用方針に照らして確認しておくとよいでしょう。
3. スタッフ招待の上限
無料プランでは招待できる人数に上限が設けられていることが一般的です。担当者が1〜2名であれば無料範囲で足りる場合もありますが、拠点が増えたり、点検担当と事務担当を分けたりする場合は、有料プランでの上限人数が自社の体制に足りるかを事前に確認しておく必要があります。
4. 記録から署名までがスマートフォンで完結するか
退去立会い当日はタブレットやノートパソコンを持ち歩くより、スマートフォン一台で完結する方が現場の負担が少なくなります。点検項目のチェック、写真撮影、退去者による署名までがスマートフォンのブラウザやアプリ内で完結するかどうかも、現場の使い勝手を左右するポイントです。
5. 料金体系と管理戸数の規模感
同じ「賃貸管理 クラウド」のサービスでも、管理戸数が数千戸規模の管理会社を想定した大規模なシステムもあれば、管理戸数が少ない管理会社を想定したシンプルな作りのサービスもあります。自社の管理戸数や拠点数に対して機能が過不足ないかを確認することが、無駄なコストを避けることにつながります。
機能が豊富なサービスほど高機能に見えますが、管理戸数や担当者数に対して機能が過剰だと、設定や操作の習熟にかえって時間がかかる場合があります。自社の規模に合った機能範囲かどうかを確認してください。
条件別の選び方
自社の状況によって、優先すべき確認項目は変わってきます。
担当者が1〜2名、拠点も1つの場合
この場合は無料プランの範囲で足りるケースが多くあります。まずは無料で使える機能の範囲を確認し、案件数や写真容量に制限がないかをチェックしてください。
複数拠点・複数担当者で運用する場合
拠点間でのデータ共有が前提になるため、クラウド保存型であることと、スタッフを複数人招待できるプランがあるかを確認しておくことが望ましいといえます。招待できる人数の上限が、現在の担当者数だけでなく今後の増員にも対応できるかも見ておくと安心です。
管理戸数が少なく、原状回復や外部業者との連携まで一元化したい場合
案件管理・写真・点検項目に加えて、原状回復の見積や発注まで一元管理したい場合は、そこまで機能範囲に含むサービスを検討する必要があります。一方で、退去立会いの記録そのものをシンプルに管理したいだけであれば、機能を絞ったアプリの方が運用しやすい場合もあります。
入居者自身に撮影を依頼したい場合
立会いに管理会社のスタッフが同行できないケースでは、入居者側に撮影を依頼できる機能の有無も比較ポイントになります。この機能の実装方法はサービスによって異なるため、自社の立会い運用フローに合うかを事前に確認してください。
退去立会いアプリの一つとしての「退去レポ」
ここまでの観点を踏まえた選択肢の一つとして、「退去レポ」のようなクラウド型の退去立会いアプリが挙げられます。退去レポは、案件・写真・点検項目をクラウド上で管理する機能を提供しているとされています。対応端末や利用条件によって操作できる範囲は異なり、記録の入力から退去者の署名までをスマートフォンで行えるかどうかを含め、実際の対応範囲は公式情報で確認することをおすすめします。
有料プランでは、スタッフの招待人数が無料プランより多く設定されていると案内されています(上限人数は提供時点のプラン内容により変動する可能性があるため、最新の条件は公式情報で確認してください)。この仕組みにより、立会い担当者と事務担当者、複数拠点のスタッフなど、役割や拠点が分かれている体制であっても、人数や権限などの条件次第では、同じクラウド上で案件を共有しながら運用できる場合があります。
また、退去レポは、提供元の説明によると管理戸数2,000戸以下の賃貸管理会社を主な対象として想定しているとされています。退去立会いの記録に機能を絞った設計になっており、機能範囲が限定されている分、設定や操作の項目も少なくなる構成とされていますが、導入時の負担感は担当者数や拠点数、利用環境、担当者のITリテラシーなどによって異なるため、自社の状況に照らして確認することが望ましいといえます。
無料の範囲では、案件登録・写真の記録・点検項目のチェックといった基本機能の一部を試せる場合があります(提供される機能の範囲は変更される可能性があるため、最新の内容は公式情報で確認してください)。一方、有料プラン(月額980円、税込)では、スタッフ招待人数の拡張に加えて、案件数や保存容量などの制限が緩和されると公式情報で案内されています。こちらも価格・条件は変更される可能性があるため、導入検討時には最新情報の確認をおすすめします。無料の範囲でどこまで自社の運用に足りるかを確認したうえで、不足する部分があれば有料プランへの切り替えを検討するという進め方が現実的です。
なお、退去立会いアプリにはこの他にも複数のサービスが存在します。写真報告に特化したもの、iPadでの現地利用を前提にしたもの、原状回復工事の発注まで一元化したものなど、それぞれ想定する業務範囲が異なります。自社の担当者数・拠点数・管理戸数、そして記録をどこまで一元化したいかに応じて、比較検討することをおすすめします。
退去立会いのクラウド管理でよくある疑問
無料プランだけでも運用できるか
担当者が少なく、拠点も1つであれば、無料プランの範囲でも基本的な記録管理に対応できる場合があります。ただし、対応できる範囲はサービスやプラン内容によって異なり、案件数や写真の保存容量、招待できるスタッフ人数には制限が設けられていることが一般的なので、自社の運用規模と照らし合わせて確認してください。
スマートフォンだけで退去立会いの記録は完結するか
アプリによっては、点検項目のチェックから写真撮影、退去者の署名までをスマートフォン一台で完結できる設計になっているものがあります。タブレットやノートパソコンを別途持ち歩かずに済む構成のため、立会い当日に必要な荷物や準備の内容が変わることがありますが、実際の負担感は運用方法や現場の状況によって異なります。
拠点が増えた場合、途中でプランを変更できるか
多くのクラウド型サービスでは、無料プランから有料プランへの切り替えが可能な設計になっています。拠点や担当者が増えたタイミングで、スタッフ招待の上限や保存容量が足りているかを都度見直すことをおすすめします。
まとめ
退去立会いをクラウドで管理するアプリを選ぶ際は、まず「複数人での同時利用ができるか」「データの保存先がクラウドか」「スタッフ招待の上限が自社の体制に合っているか」の3点を確認することが出発点になります。そのうえで、記録から署名までがスマートフォンで完結するか、料金体系が自社の管理戸数や拠点数に見合っているかを比較していくと、自社に合ったサービスを選びやすくなります。
退去レポのように管理戸数2,000戸以下の管理会社を想定したシンプルな設計のアプリもあれば、原状回復の発注まで一元化した大規模なシステムもあります。自社の運用規模と、今後どこまで業務範囲を広げたいかを踏まえて、選択肢を比較検討してください。