個人事業主が無料で顧客管理を始めるには、クレジットカード登録なしで無料の範囲を確認できるものから試してみるとよいでしょう。カード情報を入れてしまうと、無料期間が終わった後に自動で課金される設定になっていないか確認する手間が増えますし、そもそも無料の範囲がどこまでなのかを把握しにくいまま使い始めることになりがちです。まずはカード登録不要で、無料のまま何件まで顧客を登録できるのかが明示されているものから検討するのが一つの方法です。
この記事では、一人で店舗を営む個人事業主の方が、お金をかけずに顧客管理を始める際に確認しておきたい観点と、条件別の選び方について整理します。
個人事業主が無料で顧客管理ツールを選ぶときに見るべき観点
顧客管理ツールには「無料プラン」をうたうものが多くありますが、その中身は商品によって大きく異なります。選ぶ前に、最低限次の3点を確認しておくことをおすすめします。例えば、カード登録ありのツールで無料期間終了後に自動課金されてしまったケースや、無料プランの機能制限に気づかないまま使い始め、後になって有料プランへの移行を迫られたというケースも見られます。こうした事例を踏まえると、事前にこの3点を確認しておくことが、想定外の出費や手間を減らす一助になると考えられます。
無料の範囲はどこまでか
「無料」と書かれていても、無料なのは一部の機能だけで、顧客情報の一括エクスポートや検索機能などが有料プランの対象になっているケースがあります。顧客の名前や連絡先を登録できるだけで、来店履歴やメモを残す機能が制限されている場合もあるため、自分の店舗でどの機能を日常的に使うのかを先に考えてから、その機能が無料の範囲に含まれているかを確認する必要があります。
クレジットカード登録が必要かどうか
無料トライアルをうたうサービスの中には、登録時点でクレジットカード情報の入力を求めるものがあります。この形式の場合、無料期間が終わると自動的に有料プランに移行する設計になっていることがあり、解約し忘れると意図せず課金が発生する可能性があります。個人事業主として一人で運営している場合、こうした管理の手間自体を減らしたいという事情もあるため、カード登録なしで使い始められるかどうかは、最初に確認しておきたいポイントの一つです。
顧客登録の上限件数
無料プランには、登録できる顧客数に上限が設けられていることが一般的です。上限が極端に少ないと、開業してしばらく経った時点ですぐに上限に達してしまい、結局は早い段階で有料プランへの移行を検討することになります。逆に上限が大きめに設定されているものであれば、小規模な店舗であれば当面の間は無料の範囲内で運用を続けられる可能性があります。
無料の範囲・カード登録の要否・上限件数の3点は、申し込み前に公式サイトの料金ページやヘルプページで確認できることが多いです。試す前にこの3点だけでも控えておくと、後から条件を比較しやすくなります。
比較の軸:無料で使える機能の広さと上限到達後の選択肢
ツールを複数候補に絞った後は、次の2つの軸で比較すると、自分の運用イメージに合うかどうかを判断しやすくなります。
無料で使える機能の広さ
同じ「無料プラン」でも、顧客登録と検索だけができるものから、来店履歴の記録やメモ機能、簡単な集計機能まで無料の範囲に含まれているものまで幅があります。一人で店舗を切り盛りしている場合、顧客の名前と連絡先だけでなく、来店時の要望やちょっとしたメモを残せると後々の接客に役立つ場面があります。無料プランでどこまでの機能が使えるのかを、登録前に比較しておくとよいでしょう。
上限に達したときの選択肢
顧客数が増えて無料プランの上限に達した場合、多くのサービスでは有料プランへの移行を案内する仕組みになっています。このとき、移行先の料金がどの程度か、月額なのか年額なのか、上限を超えた分のデータはどう扱われるのかを事前に確認しておくと、実際に上限に近づいたときに慌てずに判断できます。上限に達した時点で初めて料金体系を調べるのではなく、無料で使い始める段階であらかじめ目を通しておくことをおすすめします。
Excelやスプレッドシートで顧客管理をしてきた方が、件数の増加や検索のしにくさから別の方法を検討し始めるケースもあります。この点についてはExcel顧客管理がめんどくさい時の原因と対処法でも触れていますので、あわせて参考にしてください。
条件別の選び方
ここまでの観点を踏まえて、個人事業主が置かれている状況別に、どのような条件のツールを優先的に確認するとよいかを整理します。
開業したばかりで顧客数がまだ少ない場合
顧客数がまだ数十件程度であれば、無料プランの上限が低めのツールでも当面は困らない可能性があります。この場合は、上限件数よりも「カード登録なしで気軽に試せるか」「操作が自分にとって分かりやすいか」を優先して確認するとよいでしょう。
顧客数が増えてきている、または増える見込みがある場合
すでに一定数の顧客がいる、または今後増える見込みがある場合は、上限件数と、上限を超えた後の料金体系を先に確認しておく必要があります。無料の範囲だけで判断して導入した後に、思ったより早く上限に達してしまうと、運用を見直す手間が発生します。
予約や決済の機能もまとめて使いたい場合
顧客管理に加えて予約受付や決済機能も一つのツールでまとめたいと考えている場合は、顧客管理に特化したツールでは機能が足りない可能性があります。この場合は、予約機能や決済機能を備えたツールも候補に含めて比較する必要があります。
無料プランの条件は、サービス提供元の判断でいつでも変更される可能性があります。導入前に必ず公式サイトの最新情報を確認してください。
「個人店のための受付台帳」の無料範囲について
クラウド型の顧客管理ツール全般と比較しながら、条件を確認する一例として、「個人店のための受付台帳」という顧客管理ツールを紹介します。これは数ある顧客管理ツールの一つとして挙げられるもので、他にも同様の条件を満たすツールは存在します。
2024年6月時点で公式サイトにて確認した情報によると、このツールはクレジットカード登録なしで顧客登録150件まで全機能を利用できるとされています。150件を超えると、台帳の画面上に月額500円のプランの案内が表示される仕様とされています。
なお、以下の点にご留意ください。
- 無料範囲・料金体系はサービス提供元の都合により予告なく変更される場合があります
- 実際に利用を検討する際は、公式サイトで最新の条件をご自身で確認してください
なお、このツールには予約機能・決済機能は備わっていません。顧客情報の登録・管理に特化したツールであるため、予約受付や決済までを一つのツールでまとめたいと考えている場合は、他の選択肢もあわせて検討する必要があります。
台帳設定画面からプラン画面を確認する操作の流れ
無料の範囲や上限を確認する具体例として、台帳設定画面からプラン画面に進む操作の流れを紹介します。
- 台帳にログインし、画面上部または左側のメニューから「設定」を開く
- 設定画面の中にある「プラン」または「ご利用プラン」の項目を選択する
- プラン画面で、現在の登録件数と上限件数、150件を超えた場合の月額料金の案内を確認する
この流れで、現在の登録件数や上限までの残り件数を確認できる場合があります。ただし、実際の画面表示や操作手順は提供元の仕様変更により異なることがあるため、利用時は表示されている最新の案内に従って確認してください。上限に近づいた段階で早めに確認しておくと、プラン移行を急に判断する必要がなくなります。
個人事業主が教室形式で顧客(生徒)を管理する場合の選び方については、個人事業主の教室向け顧客管理アプリの選び方でも解説していますので、業態に応じて参考にしてください。また、紙の台帳からの切り替えを検討している場合は顧客管理が紙の台帳で限界を迎えたときの整理法も参考になります。
まとめ
個人事業主が無料で顧客管理を始める際は、まず「無料の範囲」「カード登録の要否」「上限件数」の3点を確認し、その上で無料で使える機能の広さと上限到達後の選択肢を比較するとよいでしょう。顧客数がまだ少ない段階であれば、カード登録なしで気軽に試せるツールから始め、上限が近づいてきた時点で改めてプランの移行を検討するという進め方が、無理なく始める一つの方法です。
個人情報の取り扱いに関しては、個人情報保護委員会や関連省庁の実態調査なども公表されています。顧客情報を電子的に管理する際は、こうした公的な情報も参考にしながら、自店舗に合った管理方法を検討してください。出典: 政府統計の総合窓口