整体院の顧客カルテを作るときは、まず「名前・電話番号・生年月日」などお客様自身に関わる基本項目と、「気になる点・部位・来店経緯」などの施術にまつわるカルテ項目を分けて考えると、後から項目を整理しやすくなります。開業したばかりで何から決めればよいか迷っている場合も、紙のカルテを見直したい場合も、この2つのグループに分けるところから始めると、全体の設計がしやすくなります。
この記事では、整体院の顧客カルテをゼロから作る手順を、前提の確認から具体的な項目決め、運用でつまずきやすい点、ツールを使う場合の選択肢まで順番に解説します。
前提の確認:誰が何を記録するのかを先に決める
項目を並べ始める前に、「その項目を誰が入力するのか」を整理しておくと、後の作業がスムーズになります。整体院のカルテには、大きく分けて次の2種類の情報が混在しがちです。
- お客様自身に記入・入力してもらう項目(初回問診票など)
- スタッフだけが施術の中で記録する項目(所見、施術内容、次回の方針など)
この2つを最初から分けて設計しておくと、「お客様に見せてよい内容」と「院内だけで共有する内容」が混ざらずに済みます。たとえば、お客様に書いてもらう問診票には症状や既往歴などの基本的な聞き取り項目を置き、スタッフ側には施術者としての所見や次回への申し送りを書くメモ欄を別に用意する、という形です。
お客様記入欄とスタッフ記入欄を分けておくと、後から「この項目は誰のためのものだったか」を見直す手間が減ります。
整体院の顧客カルテ作り方:手順
ここからは、実際にカルテ項目を決めていく手順を順番に紹介します。
手順1:基本項目を決める
最初に決めるのは、お客様を特定し連絡を取るための基本項目です。整体院の顧客カルテでは、おおよそ次のような項目が挙げられます。
この段階では、施術内容に踏み込まず、あくまで「誰が」「いつから」「どういう経緯で」通っているかを把握できる項目に絞っておくと、後の症状・部位の項目と混同しにくくなります。電話番号を軸に顧客情報を探す場面が多い店舗では、電話番号で顧客管理アプリを選ぶときの比較ポイントのような検索性も合わせて検討しておくと、カルテ設計の段階からスムーズに運用に移りやすくなります。
手順2:症状・部位などのカルテ項目を決める
基本項目が決まったら、次は施術に直接関わるカルテ項目を決めます。整体院のカルテとして一般的に検討されるのは、次のような項目です。
このうち「気になっている点・ご要望」「気になっている部位」「体質・生活面で配慮してほしいこと」は初回のカウンセリングで聞き取り、その後は来店のたびに「施術内容」や「施術後のお客様の感想・ご様子」を追記していく形が一般的です。なお、はり・きゅうやあん摩マッサージ指圧の保険施術に関わる同意書では、症状や部位を記載する様式が定められています。保険施術を扱う場合は、こうした公的な書式の項目立てを参考にすることもできます。出典: 厚生労働省
自費施術が中心の整体院であっても、「どの部位に」「いつから」「どういう経緯で」気になる点を感じているかを記録する考え方自体は参考になる部分があります。
手順3:スタッフ用のメモ欄を用意する
症状・部位の項目を決めたら、最後にスタッフだけが使う自由記述のメモ欄を用意します。これは、決まった項目には当てはめにくい気づきや申し送りを残すための欄です。
このメモ欄は、項目をあらかじめ細かく区切らず、自由記述にしておく方が使い勝手がよい場合があります。症状や部位のように毎回決まった形で記録する情報と、施術者の感覚的な気づきのように毎回内容が変わる情報は、同じフォーマットに収めようとすると無理が出ることがあるためです。
つまずきやすい点:項目を増やしすぎて運用が負担になる
カルテ項目を考え始めると、「あれも記録しておいた方がよいのでは」と項目がどんどん増えていくことがあります。しかし、項目を増やしすぎると、毎回の記入に時間がかかり、結果として記入が雑になったり、一部の項目が空欄のまま放置されたりすることがあります。
項目数を増やすこと自体が目的ではありません。「次回の来店時やお客様対応に実際に使う項目かどうか」を基準に絞り込むことが大切です。
項目を決める際の考え方として、次のような基準で見直すことができます。
- その項目は、次回来店時に実際に見返す情報か
- その項目がなくても、別の項目から同じ情報を推測できないか
- 記入に時間がかかりすぎて、施術時間や接客時間を圧迫していないか
紙のカルテで項目が増えすぎてしまい、記入欄が足りなくなったり、過去の情報を探すのに時間がかかったりしている場合は、顧客管理が紙の台帳で限界を迎えたときの整理法のような見直し方も参考になります。
ツールで楽にする選択肢
紙のカルテで項目を運用していくと、「項目を後から変更したい」「スタッフごとに記入のばらつきが出る」といった課題が出てくることがあります。こうした課題に対して、カルテ項目を柔軟に設定できるツールを使うという選択肢もあります。
ツールを使う場合のメリットとして挙げられるのは、次のような点です。
- 項目の追加・変更が、紙の様式を作り直すより手軽にできる場合がある
- 過去のカルテを名前や電話番号などで検索しやすい場合がある
- スタッフ間で記入内容を共有しやすい場合がある
一方で、ツールを導入する際も、まず基本項目とカルテ項目、スタッフ用メモ欄という考え方自体は変わりません。ツールはあくまで「決めた項目をどう運用するか」の手段の一つです。
「個人店のための受付台帳」の場合
カルテ項目を柔軟に管理できるツールの一つとして、「個人店のための受付台帳」が挙げられます。このツールでは、台帳設定の画面から項目を自由に追加・編集・並び替えできるようになっており、お客様ごとの基本項目とカルテ項目を自店の運用に合わせて組み立てられます。また、スタッフ用には自由記述欄が標準で用意されており、前述のような所見や申し送り事項を項目化せずに書き留められます。
たとえば、台帳設定の画面で新しく「次回来店予定日」という項目を追加したい場合は、設定画面から項目追加を選び、項目名を入力して保存する、という操作で反映されます。このように、紙のカルテで新しい項目を増やすたびに様式を作り直す手間と比べると、設定画面上で項目を調整できる点が異なります。
こうしたツールはあくまで選択肢の一つであり、他にも顧客管理ソフトや電子カルテサービスなど複数の選択肢があります。自院の規模や、紙運用からどの程度デジタル化したいかに応じて、どの程度の機能が必要かを検討するとよいでしょう。小規模な店舗で無料から始められる条件を確認したい場合は、個人事業主の顧客管理、無料で始める条件とはも参考になります。
まとめ
整体院の顧客カルテを作るときは、まず基本項目とカルテ項目を分けて考え、次にお客様記入欄とスタッフ記入欄を分けるかどうかを決めると、設計の見通しが立てやすくなります。手順としては、
- 基本項目を決める
- 症状・部位などのカルテ項目を決める
- スタッフ用のメモ欄を用意する
という順番で進め、項目を増やしすぎて運用が負担にならないよう、「実際に使う項目かどうか」を基準に絞り込むことが大切です。紙での運用が難しくなってきた場合は、台帳設定で項目を自由に調整できるツールを検討することも一つの選択肢になります。